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ジャニーズ事務所のジュリー社長が謝罪
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ジャニーズ事務所の故ジャニー喜多川前社長から性加害があったとする元ジャニーズJr.の男性の告発などを巡り、同事務所の藤島ジュリー景子社長が14日、謝罪する動画と文書を発表した。
元ジャニーズJr.の歌手カウアン・オカモトさん(26)が性的被害を受けていたことを先月12日、日本外国特派員協会で告発したが、今回の問題で事務所が本格対応するのは初めてとなった。
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◆「今回も乗り切れる」と甘く見た
危機管理に詳しい広報コンサルタントの石川慶子さん
わざわざ批判されるような対応ばかりを選んでいる。喜多川氏からの性被害を訴えたカウアン・オカモトさんの記者会見から謝罪に至るまで1カ月もかかり、遅かった。発表は報道の体制が整っている平日ではなく、正々堂々としているとはいえない。
動画や文書は、法的責任を免れようとする内容だった。
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本来であれば、記者会見を開いて社長自ら説明責任を果たし、問題と向き合う姿勢を示さなくてはならない局面だ。ただ、動画などから、藤島社長は「不慣れ」な印象を受けた。きわめて珍しい形の謝罪方法となったのは、「会見で社長自ら説明すること自体がリスク」と同社が判断したためかもしれない。
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オカモトさんらの告発と向き合わなければならない日が来ると予測し、前もって謝罪の仕方などを検討することもできたはず。だが、喜多川氏をめぐる問題や危機管理を甘く見て、「今まで大丈夫だったから、今回も乗り切れる」と準備を怠っていたのだろう。
第三者委を設置しないという表明からは、喜多川氏による性加害を事実として認定することで、法的責任を問われる展開を恐れているとわかる。だが、被害者の人権を踏みにじってまで、他に優先させるべきことなどない。徹底的な調査が必要だ。
このままでは同社にも不利益が降りかかるだろう。才能のあるタレントは同社への所属を望まなくなり、所属タレントがCM出演などをするスポンサー企業らは契約について考え直す可能性がある。
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◆組織内での問題解決、信頼されていない
ガバナンスに詳しい青山学院大学の八田進二名誉教授
後手後手の対応だった。オカモトさんの告発からの1カ月、「嵐が去る」のをただ待っていたのだろう。少なくとも、告発後すぐに記者会見を開き、同社としての見解を示す必要があった。
同族経営の同社では喜多川氏によるワンマン体制が長く続き、幹部は「イエスマン」ばかりで固めてきたとみられる。喜多川氏をめぐる問題に向き合わなければ「軽傷では済まない」とトップに進言できる人は、今もいないように思えた。
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外部の目で経営を監視するガバナンスの入り口にすら辿り着いておらず、時代錯誤な体制だ。上場していない同社の内部には、「口出しされる筋合いはない」との見方があるのかもしれない。
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だが、同社は国内有数の芸能プロダクションであり、事業そのものの公益性を自覚しなくてはならない。情報を適切に開示し、社外からの監視を徹底するべきだ。
第三者委を立ち上げず、組織内部だけで問題を解決しようとしている。少なくとも1999年の「週刊文春」の報道から20年以上にわたり問題を放置した同社に、社会の信頼はない。被害者の心理的負担に寄り添いつつ、第三者の公正な立場から調査する体制をつくる必要がある。
藤島社長は「責任はあったと考えております」と述べたが、辞任はしないと表明した。事務所をめぐる性加害疑いという重大な問題が起きたのに、社長にとどまり続けるのは問題だ。今後の数年だけでもガバナンスを強化できる人物に経営を任せなければ、同社は建て直せないだろう。
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ガバナンスとは「統治・支配・管理」を意味する言葉です。 ビジネスにおいては、コーポレートガバナンスと呼ばれ、企業経営において公正な判断・運営がなされるよう、監視・統制する仕組みを指します。
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◆著名タレントの「#MeToo」につながる可能性
芸能界に詳しいジャーナリストの松谷創一郎さん
一連の対応は場当たり的で、判断もダラダラと遅れていた。トップのリーダーシップのなさがあらわれている。喜多川氏をめぐる問題と向き合う覚悟を決めきれていない姿勢や、危機管理にあたるスタッフらの不足も露呈した。
藤島社長は「そのような行為(性加害)自体は決して許されることではない」と述べた。ならば、まずは性加害があった事実を認定することが重要な一歩だ。
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第三者委を立ち上げない理由として、「ヒアリングを望まない方々も対象となる可能性が大きいこと」「ヒアリングを受ける方それぞれの状況や心理的負荷に対しては、外部の専門家からも十分注意し、慎重を期する必要があると指導を受けたこと」が挙げられた。
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だが、被害者に参加を強制しなくても調査はできる。結果の公表にあたり、プライバシーに配慮することも当然だ。
第三者委の設立から逃げるのは、企業としての社会的責任を自覚せず、「自分たちを守ることで頭がいっぱい」という同社の姿勢のあらわれ。(元)所属タレントを性被害から救うことが優先だ。
イギリス公共放送BBCのドキュメンタリー番組や、オカモトさんの告発をきっかけに、喜多川氏による性被害を訴える人は増えている。
同社の対応が不十分なままでは、今後、著名なタレントによる「#MeToo」(性被害の告発)につながる可能性がある。今こそスパッと第三者による調査を始める方が、「傷口」の広がりをおさえられるはずだ。
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