264 北朝鮮のナゾの少女は「ピンクのスーツ」、総書記の妹・金与正は「純白のジャケット」…参列幹部全員が「黒」のなかド派手な衣装をまとう2人のロイヤルファミリーが抱く“思惑”とは 牧野 愛博 「ピンクのスーツ」で中央に立つ愛娘と、背後でひっそりと「白いジャケット」をまとう妹——。北朝鮮の金正恩総書記は8月14日、「祖国解放81周年」に際して平壌の大城山革命烈士陵を訪問した。参列した幹部全員が厳粛なダークスーツで身を固めるなか、あえて異質な衣装を誇示する2人のロイヤルファミリー。北朝鮮の国営メディアが報じた写真や映像を見ると、権力の中枢で繰り広げられる女の戦いが見えてきた。 匿名さん2026/08/21 18:11
265 ◆◆◆ 幹部がダークスーツで揃うなか、異彩を放つ2人 大城山革命烈士陵は抗日パルチザン闘争時代からの功績があった政治家や軍人などをまつった国営墓地。14日の訪問には、報道によれば、金正恩夫妻、西側メディアがキム・ジュエと呼ぶ娘ほか、党や軍、外務省、国防省の幹部らが同行した。映像で見る限り、100人ほどが参加したが、軍服を着た軍人以外は、金正恩夫妻を含め、皆がダークスーツを着用していた。厳粛な場所の雰囲気に合わせたドレスコードと言えるだろう。 匿名さん2026/08/21 18:14
266 例外が2人だけいた。1人はピンクのスーツ姿のジュエ氏。いつものようにセンターの位置を占めており、金正恩氏と一緒に整列した軍人を閲兵するなど、後継者として扱われているように見える処遇を受けていた。そしてもう1人が金与正党総務部長だ。報道写真や映像では目立たない位置ながら、純白の上着を着用していた。 北朝鮮では地位が高くなるほど、目立つことを嫌がるようになる。粛清の理由のなかで「不正蓄財」と並んで多いのが、ライバルたちからの「最高指導者への告げ口(讒言)」だからだ。北朝鮮では「最高指導者との距離の近さが権力の大きさを決める」という不文律がある。脱北した元党幹部は「最高指導者が出席する会食があると、いつも事前に配られる席次表を見て、自分の地位に変化がないか確認していた」と語る。誰もが最高指導者の歓心を買いたいと考えている。そうした背景があり、服装や言動で目立った動きをすると、周囲から「最高指導者を軽んじている」「野心がある」などと密告され、権力社会から転落することになるのだ。 匿名さん2026/08/21 18:14
267 不文律を軽んじると“叔父”ですら処刑された かつて、こうした不文律を気にしなかったのが金正恩氏の叔父、張成沢元国防副委員長だった。同氏は金正日総書記の妹、金敬姫氏の夫で、金正日氏から絶大な信任を得ていた。 過去の南北首脳会談の昼食会でのことだ。大広間にいくつもの円形テーブルが並ぶなか、しばらくすると「将軍様にお酒をお注ぎしなければ」「ご挨拶だけでも」と、誰もが我先にと主賓席へ群がり始めた。だが、張氏だけは悠然と自席から動こうとしない。心配した韓国政府関係者が「行かなくて大丈夫ですか」と声をかけても、「私はいいんです」と答えるのみだった。そんな絶対的な権力者すらも、結局は対立勢力から「権力を奪おうとしている」と告げ口され、2013年12月に処刑されたのである。 匿名さん2026/08/21 18:15
268 そんな北朝鮮の権力社会で、後継者として扱われているように見えるジュエ氏はともかく、ロイヤルファミリーとはいえ、他の人々と全く異なる服装をする金与正氏には、よほどの自信があるのだろう。 金与正氏が「摂政」として実権を握るシナリオも 朝鮮中央通信は今年2月末、金与正氏を「党総務部長」の肩書で紹介した。金与正氏は2月下旬の第9回朝鮮労働党大会で党副部長から党部長に昇格していた。脱北した元党幹部らによれば、党総務部長はかつて党公式文書の保管・管理を担う閑職とみられていた。一方、最近の韓国メディアでは、総務部は党総書記の指示を党全体に周知し、党の内政や統制に関わる中核部署との見方も出ている。 また、北朝鮮では最高指導者の現地視察には「党書記」が同行し、党部長は基本的に平壌で党務の指揮を執るのが通例だった。だが、金与正氏は党組織指導部と並ぶ核心部署の党宣伝扇動部で副部長を務めていた当時と同様、しばしば、北朝鮮の対外方針について談話や声明を発表している。金正恩氏の現地指導にも同行している様子が、国営メディアによって伝えられている。 匿名さん2026/08/21 18:16
269 部下の数は減ったのかもしれないが、金与正氏の権限には変化がないことがわかる。 大城山革命烈士陵への訪問を伝える国営メディアの配信写真をみると、黙礼の際に金正恩氏夫妻とジュエ氏だけが、首だけを前に傾ける「最高指導者スタイル」を取る一方、他の幹部たちは深々と上半身を折り曲げていた。しかし、そのフレームには金与正氏は入っていなかった。与正氏も深々とお辞儀していたことは想像に難くないが、ジュエ氏との力関係を浮き彫りにしたくない意図があるのかもしれない。宣伝扇動部の副部長時代、最高指導者が写った「1号写真」を選び、画角を決めるのは与正氏の仕事だとされてきた。総務部長になった今も、彼女は自らの見せ方をコントロールする特権を維持しているのかもしれない。 匿名さん2026/08/21 18:16
270 正恩氏と与正氏の母親である故高容姫氏は在日朝鮮人だった出自のため、公の場には出られなかった。金日成主席は金正日氏と高容姫氏の結婚も認めなかった。正恩氏と与正氏らは日本海側の元山にある特閣(最高指導者の専用住宅)で世間の目を避けるように暮らした。不遇の時代が長かったため、2人は強い愛情で結ばれているとされる。疑り深く、信頼できる側近が少ないという正恩氏の事情も影響しているようだ。 このままいけば、いずれジュエ氏が後継者の座を不動のものにするだろう。だが、推定13〜14歳の彼女が権力基盤を固めるには、まだ10年ほどの歳月を要する。 もしその間に、正恩氏が健康悪化で倒れたらどうなるか。与正氏が「党第1書記」(2021年新設)のポストに就き、若きジュエ氏の「摂政」として実権を握るシナリオが現実味を帯びてくる。さらには、権力継承の過程で与正氏自身がトップの座を奪い取る可能性すら否定できない。朝鮮労働党高級幹部層の「赤い貴族」たちにとっては、自分たちの特権さえ守られれば、トップが誰であろうと知ったことではないからだ。 匿名さん2026/08/21 18:17