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Gグループ⑤-6
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みんなー暴露するぞー
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今日世界は滅びる。テレビがそう騒いでいるのだから間違いない。世界は大混乱になっていた。
皆がどこかへ逃げたり、滅亡に抗おうとしたりする中、俺はいま一つの墓の前にいた。
「久しぶり」
その墓には俺の彼女、京子が眠っている。彼女は世界の滅亡を知る前に事故で亡くなった幸運な人間の一人だ。
墓の前に座りこむ。俺は彼女と世界の滅亡を見届けるつもりでいた。
滅亡に抗う事をしない俺を軟弱だと言うやつもいるだろう。だが人は自分の死にざまさえ他人に左右されなければならないのだろうか。
「それは違うよな」
墓に語りかける。返事はないが、京子が俺にほほえんでくれた気がした。
黄昏とともに、滅亡はゆっくり始まった。
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偶然街なかで昔付き合っていた彼女とすれ違ったとき、俺は思わず振り返っていた。
彼女の姿は昔と全然変わっていない。急に押し寄せてきた懐かしさに、もう忘れていたはずの感情があふれ出しそうになる。
彼女に声をかけようか、そう思い手を伸ばそうとする。
だがその直後、俺は気づいてしまった。彼女の隣に俺の知らない男が寄り添っていることを。
冷や水を浴びたように冷静になる。そして俺は理解した。彼女は俺の知らないところで既に新しい今を生きているのだと。
それなら俺だって振り返っちゃダメだ。
(俺も今を生きるよ)
そう心の中でつぶやいて前を向き歩き出す。彼女のことを振り返ることはもうなかった。
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パパは思い出コレクターだ。パパの部屋にはいろいろな思い出の品がある。
このおもちゃはパパが子供の頃の思い出。誕生日に買ってもらったらしい。
この手紙はパパの初恋の思い出。好きな人に渡そうとしたんだけど、結局渡せなかったんだってさ。
このハンカチはパパが初めてママと会った時の思い出。パパが派手に転んで、ママがこのハンカチを使ってケガの応急処置をしたんだ。
他にもパパの思い出の品はたくさんある。
そんな思い出コレクターのパパに「一番のコレクションは何か」聞いたんだ。
そしたらパパは「それは目の前にいるよ」と言ってニッコリと笑った。
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同級生の姉川さんが飛び降り自殺をした。吃音症を理由に学校でイジメられていたのが原因だ。
少ししてから、姉川さんの日記が書籍化された。話題性の高い題材に出版社が食いついたのだ。
僕はその本を読み、内容に驚いた。そこにはイジメに関する事が一切書かれていなかったのだ。書いてあるのは明るい話題だけ。姉川さんはイジメられていてもギリギリまで前向きに生きようとしていたのだ。
その姉川さんの本が今朝、教室のゴミ箱に捨てられていた。イジメていた奴らが本を買ってわざと破り捨てたのだ。
僕は初めて人を殴り、叫んだ。
「お前らそれでも本当に人間なのかよ!」
僕の叫び声に答える人はいない。僕は拳を握り締め一人泣いた
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同級生の姉川さんが飛び降り自殺をした。吃音症を理由に学校でイジメられていたのが原因だ。
少ししてから、姉川さんの日記が書籍化された。話題性の高い題材に出版社が食いついたのだ。
僕はその本を読み、内容に驚いた。そこにはイジメに関する事が一切書かれていなかったのだ。書いてあるのは明るい話題だけ。姉川さんはイジメられていてもギリギリまで前向きに生きようとしていたのだ。
その姉川さんの本が今朝、教室のゴミ箱に捨てられていた。イジメていた奴らが本を買ってわざと破り捨てたのだ。
僕は初めて人を殴り、叫んだ。
「お前らそれでも本当に人間なのかよ!」
僕の叫び声に答える人はいない。僕は拳を握り締め一人泣いた
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私は寝たきりでひとりぼっちの生活をしていた。だが寂しい老後だと思った事は一度もない。
今日も家政婦さんがポストから手紙を持ってきてくれた。どれも国際郵便で届いたものだ。
『英国での仕事も慣れました。でも料理の味にはまだ慣れません』
『バチカンに行ってきました。写真も同封しますね』
『ベトナムの街は圧巻でした。まさにカブ天国です』
これは全てネットで出会った人からの手紙だ。彼らの手紙を読んでいる時、私は寝たきりのまま世界旅行をしている気分になる。
私も彼らに向けて一通手紙を書いた。
「日本は春です。窓辺の桜がついに開花しました」
彼らが日本の息吹を感じてくれればいいな。そう願い手紙に封をした。
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放課後の学校。僕は他に誰もいない教室で缶コーヒーを飲みながら本を読んでいた。本を読むなら図書室に行くのが普通だ。コーヒーを飲みながら本を読みたいなら自宅に帰ればいい。だが僕にはここで読書をする理由があった。
少しずつ、ゆっくりとピアノの旋律が聞こえてくる。それは優しくてとても温かい音色。隣の音楽教室で高坂先輩がピアノを弾いているのだ。
高坂先輩は僕の思い人だ。一度先輩がピアノを弾いているところを見てから、僕は彼女の虜になってしまった。
憧れている人のピアノ演奏を聞きながら、微糖の缶コーヒーを飲み、好きな作家の本を読む。それが僕にとってのささやかな幸せだ。
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